早朝の漁港には、多くの漁船が集まってきます。まだ薄暗い空気の中を、人々の声が飛び交います。船が岸壁に着けられると、つなぎ姿の漁協の職員たちが駆け寄って、水揚げの準備を始めます。魚を冷やすために、製氷会社の人たちがやってきます。「おこぼれ」を狙って何羽ものカモメが飛んできます。港のすぐそばには、魚や貝を加工する会社がたくさん集まり、漁師たちの朝ごはんを作る定食屋もあります。「水産業」と関係のなさそうに見える業種でも、気仙沼に暮らす人々は何らかのかたちで「海」とつながっています。人々の熱気溢れるこの港が、気仙沼の中心です。
しかし、水産業は危機的な状況にあります。世界の海からどんどん魚がいなくなっているのをご存知でしょうか。魚の数には限りがあります。魚を獲りすぎてしまえば、いつかは獲れなくなる日が来ます。現在の自分たちのことだけを考えれば、このまま続けることもできますが、取り返しのつかなくなってからでは遅いと思うのです。
気仙沼は、海の恵みが循環することで成り立ってきた町です。だからこそ、気仙沼の漁師たちはサメの資源を減らさないよう、国際条約の取り決めに沿った漁をしています。サメも含め、海の恵み受け取るこの循環が、いつまでも続いていくためです。
石渡商店では、資源量が増加傾向にある、ヨシキリザメを使用しています。気仙沼では、サメ漁に対する愛情と誇りを持って、日本だけでなく世界の多くの人々に認めて貰えるように通称、海のエコラベルと呼ばれる国際NPO団体、海洋管理協議会MSCによる認証を目指し、漁業改善計画を立て、取り組みをはじめています。